2014/10/30

きのこショー


日曜日、マグナソン・パーク(Magnuson Park)のMountaineers Buildingで開催された、「野生きのこショー(Wild Mushroom Show)」を見にいってきました。


Puget Sound Mycological Society(ピュージェット湾菌学協会)という団体が主催する、けっこう有名な年に1度のイベントです。前から気になってたんだけど、行ったのは今年がはじめて。

入場料は1名10ドルでした。
会場にはいるとさっそく野生きのこがいっぱい載ったトレーが並んでます。『不思議の国のアリス』に出てきたような巨大な水玉きのこも!この間も似たようなのをグリーンレイクで見かけたばかりだけど、こんなに大きいのは初めて見た。


食用になるものは緑、毒のあるものは赤、食べてもたぶん害はないけど別にうまくはない、または未知のものは黄色に分類されてました。

赤い札の毒きのこの中に、美味しそうな顔をしているものたちがかなりいますよ!


会場には、菌学協会の人たちが「きのこのことならわたしに聞いて」というバッヂをつけて立っていて、次から次へと質問攻めに遭っていました。
きのこを心から愛する人の集まりなんでしょう。全身、きのこ模様の装いに身を包んだ方もいました(きのこプリントのゆったりしたパンツにきのこTシャツ…)。


隣の部屋は試食コーナーになっていて、協会の人たちがモレルやアンズタケのクリーム煮などを作ってひと口サイズで食べさせてくれます。すごい人だかりでした。


色とりどりなきのこたち。右の赤や緑のも食用です。



なにもかも間違っているような気がするポスター。あまりのインパクトに、いったい何のポスターだったのか確認するのも忘れました。


この写真じゃよくわかりませんが、半透明の美しいきのこ。これも食用!


右のふさふさしたのは俗に lion's mane(ライオンのたてがみ)またはhedgehog mushroom(ハリネズミタケ)、和名ヤマブシタケ。これはたまーに、うちの近所のバラードマーケットにも売っていることがある。



「カリフラワーマッシュルーム」。説明してくれた菌学協会のお兄さんが、「これはめっちゃうま!」と激賞してました。これはぜひ発見してみたいー。

協会の人びとは皆、きのこへの一方ならぬ熱い思い入れをオーラのように漂わせています。

見つけたきのこの実物や写真を持っていくと鑑定してくれるコーナーもあったので、ハイキングで撮った写真をいくつか見てもらいました。一瞥しただけで「たぶんこれは…」と学名がすらすらと出てくるwきのこ好きすぎww。

植木鉢に生えてきたのの写真は、ちょっと小さくてなんともいえないねとのことだったのですが、でも植木鉢に出てくるきのこって、土の栄養バランスを整える役割を果たしてることもあるっていうのは目からうろこでした。なるほど。


この黒いのも食用。
「簡単な毒キノコの見分け方ってある?」というシロウト質問には苦笑して、「いや毒きのこも食べられるきのこも何百種類もあるからね、近道はありません。シャンテレルならシャンテレル、 と目標を絞って1個ずつ開拓していくしかないね」という当たり前の答えでした。



ハイキングで良く見る地衣類も展示されてました。この一番上のきれいな黄緑色のがすごく好き。


きのこTシャツやきのこ柄バッグ、きのこ型風鈴、カプセル状にして木に埋めこむだけになっているインスタントきのこ育成キットなど、販売されてるグッズも充実してました。



協会の人だけでなく、来ている人にもきのこラブな熱気が充満していてちょっと驚きでした。みんな熱心にメモとかとってたり。

このお兄さん、白いバスケットにこんなにたくさん水玉きのこを入れて、一体何にするんでしょうか。聞きたくて無駄にウロウロしちゃったけど、ついに聞けなかった……。
しかもこの人、帽子に紫の羽根つけてたあるよ。

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2014/10/27

BORAX


うちには10代男子がおるので、浴槽の汚れ方が半端でありません。
磨き上げても数日するとすぐ湯垢がたまって超イヤだったんですが、あるときウェブで「バスタブの汚れにはBORAXがいちばん!」という記事をみて、半信半疑で買ってみました。

そしてびっくり!あまりにも気持よくすーっっと汚れがとれてぴっかぴかに。

クレンザーの要領で気前よくパラパラと振りまいて、水を流しながらスポンジで拭き取るだけ。
まったく苦労なし。今までいろんなスプレーとかクリーナーとかクレンザーを使ってゴシゴシしてもいまいちな仕上がりで、バスタブ洗いは憂鬱だったんだけど、BORAXを使ったらものの2分ですべてが終わってしまう。シャワーの前に鼻歌まじりで完了してしまいます。

このでかい箱で5ドルくらい。洗濯のときに入れると汚れ落ちが良くなるそうですが、それは特に必要を感じないので(ユニフォームを毎日のように洗濯してた10年前だったら使ったかも)まだ試してません。

でそもそもこの中身はなに?とグーグル先生に聞いてみたら、「BORAXとは何であるか」という化学のページがありました。
まんま、BORAXという名前の鉱物なんですね。

日本語名は「硼砂(ホウ砂)」。

ウィキ先生日本語版には
「原子力船むつが遮蔽リングの設計ミスにより放射線漏れを起こしたとき、応急処置としてホウ素を含むホウ砂を混ぜ込んだ米を貼り付けることで漏れを防いだ」。
とか
「 ヴァイオリンの名器であるストラディバリウスのトップから、この物質が検出された。製作当時、ホウ砂はワニスの防腐剤として使われていたことが明らかになっており、それが名器の音の秘密ではないかという研究結果が、同教授によって提出されている」。
なんて豆知識が載ってました。ホウホウ。

目の洗浄に使われたり、「スライム」の原料にもなります。
もっと早く知りたかった!

なぜ日本で「ホウシャ」なんて一度も聞いたことなかったのかな?と思ったんですが、日本では産出されないんだそうです。
アメリカではデスバレーのあたりでたくさんとれるらしい。

 20 Mules Team (「ラバ20頭分のパワー!」みたいな感じ?)というこのクラシックなロゴも大変気に入っています。

日本では、医薬品として(目の洗浄用)地味な箱に入って薬局で売られています。 


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2014/10/26

燃える芸者じゃなくて


Flaming Geyser State Park (フレーミング・ガイザー・ステートパーク)という公園にいってきました。
場所は、シアトルから南のほうへクルマで50分くらいのところ。



ドラマチックな名前とはまったくうらはらに、めっぽう静かな公園でした。
グリーンリバーという、タコマでピュージェット湾に注ぐ静かな川が流れるそばに、広い芝生のピクニックエリアがある。

夏場は子どもたちが水遊びするのに良さそうな川辺は、なんだか西部劇に出てきそうなたたずまい。



この流れに、ピュージェット湾から鮭が上ってくるんだと公園の掲示板に書いてあった。
この上流が鮭たちのふるさとなんだそうですよ。

今はcoho salmon (銀鮭)が帰ってくる季節、というのでしばらくじっと見張っていましたが、まったく魚の影もみえませんでした。


大きな犬を連れた人が何組か、のんびり散歩に来てました。

Washington Trail Associationのサイトによると、フレイミング・ガイザーというもの凄い名前は、20世紀初めに石炭の試掘をしていたところ、メタンガスのカタマリを掘り当ててしまい、地下水とともにメタンが25フィート(約8メートル)くらい噴き出して来てビックリ!という事件があった場所だからついたもの。

地下水が噴き出してきた時だけ、イエローストーンのガイザー(間欠泉)みたいだったんでしょう。
この地下1000フィート(305メートルくらい)のところに、まだメタンは眠っているものの、もうむやみに噴き出してくる気づかいもないし、もともと間欠泉とはなんの関係もない。


このWTAのガイドによると「メタン溜まりから出てくるガスが常時ちょろちょろ燃えている」ということだったんだけど、行ってみたら、こんなでした。


 なんにも燃えてないじゃん!! メタンが尽きたのか?

ということで、フレーミングでもガイザーでもない、単に静かなだけの公園でした。

「geyser」という言葉の発音が覚えられなくて、イエローストーン国立公園にいったときに「ゲイシャー」と連発してたら、息子に「芸者?」と不可解な顔をされた。
ゲイシャーじゃなくてガイザーでしたね。フレーミング芸者というのもなかなかドラマチックだと思うけど。



公園の中にはくねくねと張りめぐらされた長いトレイルがあります。

奥のほうはあまり整備がされてなくて、下生えが生い茂っていてワイルドでした。


ここにも一見おいしそうなきのこたちが。


これはオイスターマッシュルームみたいな顔をしてますね。

きのこに限らず、菌たちって不思議なネットワークでつながっていて、変な生き物です。



 トレイルを歩いていたら急に大雨が降り出したので早々に帰ってきてしまいました。



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2014/10/24

浮世の萌え要素 


ハワイ在住の日本人アーティスト、グラバー由美子さんの個展がシアトルのBryan Ohno Gallery で行われてます。(パナマ・ホテル・ティールームと同じ通り、藤寿司の向かい側です)

由美子さんはハワイ大学「地獄の夏期コース」(笑)、夏期集中通訳講座を一緒に取った同級生。

当時彼女は美術専攻でハワイ大の学部に在学中だったのですが、その後、ハワイで大きな賞を取り、ホノルルのチャイナタウンのおしゃれレストランで作品が展示されたこと、ホノルル美術館にもこんど作品が展示されることを知って、観に行きたい~~~!と思っていたら、作品と本人が向こうからやって来てくれました!すごい!

個展タイトルは「浮世の『萌え』要素 」。



先週土曜日のアーティストトークに行ってきました。
彼女の作品は、メイド服やセーラー服を着た女の子たちが主役。

なぜその主題を選んだか。メイドや女子高生のイメージが消費され、そして女の子たち自身もその役回りを演じて注目を浴びることを楽しんでいる日本のオタク文化に惹きつけられた、のだそうです。

プレゼンテーションでは、少女たちが消費される好例として、AKB48をスライドで紹介。
交際禁止令に背いた峯岸みなみの丸刈り事件に象徴されるように、ある一定のキマリと枠の中で商品としてプロモートされる少女たち。
これを吉原の遊郭に重ねて見ると、あらそっくり。

遊郭にあった花魁をトップにいだくヒエラルキーと厳しい拘束 、AKBの「総選挙」で決まるランクづけ(CDの消費という形で金銭化されている)と厳しい管理方法が見事に重なります。
 
AKBの女の子たちは格子の中の遊女たちと違って直接的な性の対象ではなく、妄想の中で消費されるという違いはあるにしても、「イノセント」で「従属的」な女性像であることは同じ。その背景となっている父権的な価値観は明治の娘身売りの時代から、実はそう変わってはいない。

アイドルの女の子たちも、メイド服やセーラー服に身を包む少女たちも、欲望の対象となることでパワーや地位を得ているようだけれども、それはやはり、自覚的であってもなくても、格子の中にいるということ…。

というような、「日本文化」を紹介するプレゼンテーションでしたが、あらためてこうした形で見せてもらうと、ほんとに面白い。

観客の中にベトナム人の若い女性がいて、やはりアジアでは一般に同じようなイメージの女の子たちが人気を博している、とうなずいていました。

由美子画伯としては、オタク文化やメイドカフェを否定するつもりはない、と強調。

しかし絵を見てくれるオタクの男の子たちも、アイドルの立場の若い女の子たちも、見ているうちに段々と落ち着かない気分になって、その中に何かを見つけてくれたら良いと希望する、とも語っていました。



鏡を覗いて化粧する歌麿作の美人画をモチーフにした作品。 
頭のあたりにデジタル風のノイズが入っているのがおもしろい。彼女自身がデジタルの存在みたいな。

描かれた少女たちのほとんどは、鏡の中の自分の姿に集中していたり、携帯電話の画面を通してデジタル空間に投影された自分の姿に見入って、自己完結しています。

こうした形で自ら商品となっている少女たちを描くことで、イノセントな少女像が性的な対象として消費されることを認めてしまうことになるのではないか、という、フェミニズムの立場からの批判もありそうですが、由美子さんの絵はきわめてフェミニズム的なんです。

たとえば、ハワイ大学在学中に描いた「赤ずきんちゃん」シリーズの作品。


赤ずきんちゃんが悪い狼にリベンジをするシリーズ。飛行機の中で悪い狼には毒入りワインを飲ませ(奥のほうにおばあちゃんが「アテンションプリーズ」と言ってます)、別の絵ではグルグル巻きにしたオオカミをメッセンジャーバイクに乗った赤ずきんちゃんが引き回して、東京の女の子たちにその存在を知らせてます(メッセンジャーバッグの中からはおばあちゃんの手が覗いています)。
おばあちゃんとタッグを組んでオオカミをぎゃふんといわせるスーパー赤ずきんちゃんです。



また、この作品では、フレンチメイドの格好をした女の子がこちらを見据えています。(インベーダーゲームのモチーフが見えますか?)

膝の上には、冠をかぶった王子様、のはずの蛙。でも彼女はもう王子様を待つ必要はないのです。たぶん、これから1人のディナーのテーブルで食べてしまうのでしょう。

たとえば会田誠の描く少女たちは(私は実際の作品を見たことがなく、ウェブでいくつかを見ただけで感じた印象に過ぎませんけど)完全に客体であって、自我がない。海苔巻きの具にされたり瓶詰めにされたり首輪をされた少女たちは自我がまったく空白の、イノセントな客体として描かれてる。彼女たちは見る人を見据えることはなく、視線を常にどこかにさまよわせている。

(それは、日本のエロマンガやエロ動画やエロゲームの女の子たちやアイドルの定形そのものであって、きっと「お客さん」たちの集合的な願望、そのもの。それがきわめて洗練された、きわめて極端な形で絵画になっているものだから、会田誠の絵は見る人を落ち着かなくさせ、ある人びとを激怒させるだけではなくて、ある人びと、つまり潜在的な日本のエロ業界の消費者たち、を安心させてしまうのだと思います。作品の善し悪しやアーティスト本人の思惑とはまた別に。)

でも由美子さんの描く女の子たちには自分を意識した存在で、こちらを見つめる視線がある。

本人たちもまだ自分の立場を決めかねているようにも見えます。

今はまだ、彼女たちは携帯電話の画面や鏡に写し出された自分の姿に見入っている。
スカートの中を覗きに来た小さなオタクたち(下の絵ではウサギたち。でかいウサギは秋元康か!?)に気づいてか気づかずか、それより大事なデジタル世界の自分像に夢中になっている。

でもいつか、彼女たちは、赤ずきんちゃんよりもさらにすごい破壊活動に乗り出すのではないかという予感も、持たせてくれるのです。


由美子さん自身がとても可憐な人なのですが、これからもっともっと毒の強い破壊力のある絵をたくさん描いてくれることをとっても期待しています。



右はギャラリーオーナーのブライアンさん。おちゃめなダンディさんです。
左は由美子さんのご友人。


会期は11月29日まで。シアトル近辺の方、ぜひお運びください~。




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2014/10/22

ビニール盤



この間別ブログの「ビニール盤」を英語でいうと「ヴァイナル」という話でも書いたんですが、1年ほど前、うちの息子が突然、ターンテーブルを持って帰ってきた。

どこかのオーディオショップで、大枚200ドルくらい出して買ったそうです。

この子たち(息子はいま19歳)の世代って、「ビニール盤」のレコードだけじゃなくてカセットテープも見たことないし、CDでさえ買い集めてモノとしてコレクションするという経験を持ってないんですよね。

この世代はものごころついた頃から家にコンピュータがあって、音楽というのはiPodかコンピュータのライブラリに入ってるもの、またはYouTubeで見るものだった人たち。

うちの少年は、買ってきたターンテーブルにLPをのせ、ぐるぐる回っているレコードの溝に慎重に針を置くと、ブツブツいうノイズとともにスピーカーから音が出てくる、というその仕掛けを自分でやってみて、「スゲー」と興奮していました。




しばらく前に、息子がGoodwill で見つけてきた、テクニクスのアンプとカセットテープのデッキと、キャビネットのセット。これで30ドルだって。

これと超そっくりなカセットデッキとアンプを、中学のときに持っていた。その頃は父がどこかから買ってきたクラシックの100枚組くらいの全集はじめ、けっこうな枚数のLPがあったんだけど、その後引っ越しを繰り返すうちにすっかり処分してしまって、今持ってるのは2枚だけ(どうしても手放せなかったリパッティのショパンのワルツアルバムと、なぜか捨てられないでいた「たま」のアルバム)。

自分のうちでまたLPやカセットテープを聞くことになるとは、10年前には思ってもみなかった。

カセットテープも100本かそこら、かなり長いこと保存していたものを、たしかハワイから引っ越すときに全部捨てちゃったのだった。
昔、貸しレコード屋(!)でバイトをしてたとき、むちゃくちゃ洋楽に詳しかった店長のスズキさんが作ってくれたコンピレーションテープも、それまでは大事にとってあったのに。

あれはかなり良い選曲だったので、今聞いたら80年代後半ミュージックのぎゅっと詰まったエッセンスに触れられたはずだったのになー。つくづく惜しいことをした。


LPレコードの売上は年々伸びてるのだそうです。産業が復活するほどじゃないだろうけど、すっかりなくなってしまうことも、まだなさそう。

シアトルもまた「ヴァイナル」好きな人が多い町のようです。うちの近くのバラードの町には、以前からある老舗的「ヴァイナル」屋さんに加えて、最近新しい店が開店して、全部で3軒ある。



そして私の愛するGoodwillにも、LP売り場がありますよ。オシャレな若者が経営しているレコード屋さんで中古を買うと、1枚15ドルから30ドルくらいとけっこうなお値段がするんだけれども、グッドウィルなら1枚50セントだか1ドル!。

ヒマがあるとパラパラとめくっては掘り出し物を探して、少年のコレクションにむりやり名曲を加えてやってます。

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今週は「マルーン」とは何であるかについてちょっと調べてみました。

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2014/10/18

日本のアール・デコ at シアトル・アジア美術館


その日暮らしのフリーランス生活。なんだか今週後半はとってもヒマでした。

こういうときにこそたまった用事を片付けなければ。でもお天気が良かったので、ダウンタウンまで用があってちょっと出かけたついでにふらふらとシアトルアジア美術館に行ってきました。

この美術館探訪日記は前にも書いてました。わー、4年前だ。

 

玄関前のラクダも健在。




この美しいアール・デコの建物で、「Deco Japan: Shaping Art and Culture, 1920–1945」という、日本のアール・デコ美術の展覧会が開催されてました。

今ちょっと個人的に大正モダニズムのブームが起きているので、これはどうしても見ておきたかったのです。

展示を観ながら、 そもそもアール・デコって何?ということじたい、きちんと把握できていないことに気づきました。見れば「アールデコね」と思うけど、その要素をちゃんと説明できない。

直線的、幾何学的なデザイン、でもそのココロは後のモダニズムよりもずっとずっと装飾的で、明るい原色も散りばめたポップな感覚もある。というところか。

アール・デコの最盛期は日本の大正末期から昭和初期で、展示品の中には折り鶴や干支のシンボルなどを取り入れた派手な壺や花器、水辺の草のデザインに金属をあしらった斬新な欄間飾りなど、いかにも昭和初期っ!という顔のものがたくさんありました。

まぎれもなく大正・昭和の日本工芸品、この流れにおいてみればなるほどアールデコ。

そしてこの時代のものには、やっぱり帝国の香りがただよっているのですね。

日露戦争以降、西洋の仲間入りをして満州や朝鮮に植民地を置いていた大日本帝国の人びとが感じていた自負心が、展示されている壺やら絵画やらにみなぎっているように感じました。

ちょうどこの間『ダウントン・アビー』のシーズン2を見終わったところで(これも個人的に大ブーム中)、あの時代にも重なってくるんですよね。

第一次世界大戦が終わって、これまでの秩序が少しずつ崩壊しはじめて、政治も社会も産業も文化も生活も、くらしも考え方も、何もかもが決定的に変わりつつある時代が描かれてたのがシーズン2。 まだアール・デコ前夜の時代ではあるけれど、ダウントン・アビーの館が象徴するような19世紀的な価値観や美意識が少しずつ押しやられていくその後にやってきたのがアール・デコ、と考えるととても理解しやすい。

アール・デコって、ふたつの大戦の間の、熱狂的で先が見えない、ほんとうに激動の時代のものだったのだなあ、とこの展覧会ですごく納得できました。それまで、あまり時代的な背景を考えてみたことなかったんだけど、こうして並べられてみると、この時代の必然的な形でありデザインだったのだというのが、よくわかる。

現代から振り返れば「過渡期」のような時代だった、というのが見えるけれど、当時の人はそれを「いま」として、不確かな未来を目指して生きていたわけで。

どの時代だって常にそうではあるんだけど、この大戦の間の時代というのは特に、1つの崩壊がひとまず終息して、次の大崩壊が来るまでの短い台風の目のような平和な時代だっただけに、後から見るとなおさら、はかなく感じられる。

新しい技術が次々に生活の中にも入り込んで、どんどん進歩している!という感動があっただろうし、一方で社会の多くの人びとは圧倒的に貧しく、その格差や植民地の人びとの不満が社会不安のたねとしてあって、共産主義や社会主義を言論弾圧という形で押さえつけているという、無理な力がなければ成り立たない社会でもあった。

日本のデコ時代の工芸品や「モガ」たちを描いた美人画を見てると、そういう時代の共通項的な不安が底に流れていることと、「文明」の進歩や帝国の未来を信じないわけにいかない、という一種の強迫観念に近い熱気が、伝わってくる気がする。

アールデコの直線や幾何学模様のデザインは、現在から見ると静的なすっきりした印象をじていたけれど、この時代に身をおいてみれば、もっとずっとダイナミックな、前世紀の体系を壊して、というよりむしろ、それが壊れた後にタケノコのように、野をおおいつくす雑草のように急に伸びてきた、勢いのある形式だった(そしてその勢いは、爆走機関車のような帝国主義と運命を共にしていた)んだ、ということが、この展覧会を見てはじめて体感できました。
 
マネの「オランピア」をそのまま借りた、昭和初期の美人画がとても面白かったですよ。



激動の時代の美術品を見て少し疲れた頭を癒してくれる、中国磁器の部屋。

窓の外のボランティア・パークの緑と磁器が目においしい。



13世紀、元の時代の龍泉青磁。 



こちらは紀元前13世紀のものだという、殷の時代の青銅器。羊がカワイイですね。
「なぜワタシがここに?」みたいな、ちょっと心外だという表情。


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2014/10/17

日本からアメリカに持って帰れるラーメン


日本に里帰りしてスーパーマーケットに行くと、食品売り場ごと買えるものなら買って持ち帰りたくなっちゃいますが、アメリカに持ち帰れない食品は数多い。

果物の大半は駄目だし(以前、桃を密輸しようとしてホノルル空港で没収されたことがあった。その時に係の人が気の毒そうに教えてくれたのだけど、イチゴはOKだそうです。でもあんなに衝撃に弱い果物を持ってくるのは大変だよね)、鶏肉や牛肉はエキスも駄目。だからインスタントラーメンやスナック菓子はほぼ全滅。

この夏日本に行って帰ってきたときも、シアトルタコマ空港の税関で脇の特別ラインに呼ばれてスーツケースの中を開けられたのだけど、前に並んでいたフィリピン人家族は、レジ袋4袋分くらいのスナック菓子(「カラムーチョ」がお好きなようだった)を没収されていて、見るからにがっくりって顔をしてて、気の毒でした。

ラーメンの没収率はとても高いと見られ、日本からの旅行客が多いホノルルの空港では「Do you have RAMEN?」と聞かれたこともあった。

そんなわけでインスタントラーメンは最初からスルーしていたのだけど、デパートでこの派手なパッケージの「家庭用ラーメン」が目に入ったので手にとってみたら、これは魚ベースのスープじゃありませんか!

いやどうしてもインスタントラーメンを持ち帰りたいという強い願望があったわけではないんだけど、税関で荷物を調べられてもラーメンが没収されない!という場面を見たかったがために、購入してきました。
  
 税関では係員が荷物の中にラーメンを発見して勝ち誇ったように取り出すも、ラベルを読んでみると原材料にチキンエキスもビーフも入っていない…!という、劇的な展開を少しだけ期待していたのですが、鼻息荒く 「ヌードル持ってるけど、魚ベースのスープなの。魚よ!」と先走って魚を2度も強調してしまったためか、係員は「あ、そう」と言っただけで、ラーメンの袋にまるで興味を示さなかったのが、少し残念でした。



MSGが入っていないだけでなく、その他の着色料なども無添加で、キリンの絵の横に書いてあるとおり、原材料は国内産。

お味は、あっさりしたサッポロ一番、というような感じ。
そういわれてみれば、煮干しとかサバ風な味かな?という、ほっこり系ラーメンでした。




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