2015/10/28

スチームパンクの夕べ


先週、友人Mの出演するバンドをみに、Hale's Palladium というホールに行ってきました。フリーモントとバラードの真ん中あたりにあるブリュワリーHale's Breweryの裏手に、ひっそりと怪しげな入り口がある。倉庫か広いガレージを改装した感じの、天井が高くてサーカスのテントのような雰囲気の建物。
この日は、「スチームパンク」の人々が集まるライブ大会でした。
いろいろ変なアクセサリーを売っているブースが出ていて(カラスの頭蓋骨の形のブローチや指輪とか触手の部屋飾りとか、歯車やガラスが何枚もついている役に立たないメガネとか) ベリーダンサーの人々もいた。

この日のメインフィーチャーは スチームパンクバンド、Nathaniel Johnstone Band

主宰のナタニエル・ジョンストン氏は、作詞作曲、ギターとバンジョーと歌を担当の才人。中央はナタニエル氏の奥様でベリーダンサーのマダム「テンペスト」。

女性ボーカルはケイトAKA「ダグウッド」ちゃん。彼女の声は本当にパワフルで凄いです。
ギリシャ神話とか民話とかを題材にしたナタニエル氏の曲も面白いのだけど、アイルランド民謡などをアカペラで歌ってみてほしいと思った。


スチームパンクというのがどういう分野なのか、いまいちよくわからない。これは本当に分野なのだろうか。パンクといいつつ音楽はまったくパンクじゃなくて、エスニックなカラーやジャズやポップの要素が強いバンドも多いみたいだし、この夜集っていた人々も、たとえば、1)ヴィクトリア朝風のドレスにカラスの羽根やなにかをつけたコスチュームの、たぶん40代〜60代の淑女の一群。2)それよりもう少し肌の露出が多く、パンク的要素の強いコスチュームの20代くらいの淑女の一群。3)素肌に毛皮をまとい、顔や腕にペインティングをほどこしたどこかの部族風の男女4名。4)ガイコツの描かれた黒いスーツに身を包み、楽しそうにダンスフロアで踊っていた初老のカップル。……など、年齢層も服装傾向もてんでんばらばらでした。

唯一共通しているのは、オリジナルなフィクションとしてコスプレを楽しんでいるということ。アニメの人たちのコスプレは誰かの作った作品世界のキャラを演じるけど、スチームパンクな人たちはスチームパンク的な世界に、それぞれの見解に基づいて、自作のコスチュームで参加しているようです。この「なんでもあり」な感じは大変面白い。



そしてこのバンドに合わせて時々舞台にも登場するベリーダンサーの方々も凄い迫力でした。なにがって、ベリーダンサーって妖艶なおねえさんばかりなのかと思ったら、たっぷりしたベリーの方のほうが多かった。自分が楽しいことが第一で人がどう思おうが構ったこっちゃないという姿勢を、皆さん清々しいまでに貫かれているのです。
この夜の観客もパフォーマーもみんな。


最後の曲は「Frog and Toad」。アーノルド・ローべルの「がまくんとかえるくん」シリーズをモチーフにしたロックンロールな歌で、ケイトちゃんの絶唱がナマハゲ級に恐ろしい迫力の曲。小さな子が聞いたら泣くかもしれない。それとも一緒に踊り出すかもしれない。バナナガールも登場して観客にダイブしてました。




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2 件のコメント:

  1. Judgeする、されるという感覚のない素敵な夕べですね!皆んなそれぞれ自分自身で居られる環境でそれなりのperformanceをされているなんて、最高です。貴重な経験をした気分になりました!

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    1. 日本のハロウィーンの盛り上がりの記事を読むとほほー、と思うのですけど、なんだかヤケクソになってるような感じも漂ってきます。そういうのともちょっとこのスチームパンカーさんたちは違ってて、淡々と楽しんでいるところが面白いなと思いました。世界を共有しているような、全然してないような。 

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