2016/01/08

雪と火炎



明けましておめでとうございます。

今年も素晴らしい1年になりますように。

クリスマスの後からちょっと風邪をひいて、今年のお正月はいつもにも増してのんべんだらりと過ごしました。

元旦からタランティーノの新作『Hateful Eight』を見に行き、2日はNetflix でキューブリックの名作『シャイニング』を見直すという、大変心温まる年始でございました…。
正月早々なぜこんなに血みどろ。


元日も2日もシアトルの冬には珍しい、豪華な快晴でした。

2日は郊外の湖畔の友人宅で焚き火を囲んで過ごしました。
なぜ私たちはこれほどまでに、火と水をみるのが好きなのでしょうか。
火を見ると引き込まれるし、水をみるとほっとするのはDNAに書き込まれている何かの作用であるのか。

この熱と光は、化学反応という大魔法。
薪の炭素が酸素と反応して二酸化炭素を生む。(といって良いのか。ちょっと不安) 

薪に蓄えられたエネルギーが目に見える形で光と熱にどんどん変換されてるこのスペクタクル。

火炎というのは生きものっぽく見える。

生物の体の中で起きている生命の動力、あの生物の教科書で何度読んでもよくわからなかったATPという謎のシステムも、未だにぜんぜんよくわからないけどこの焚き火みたいなものなのか。なんてね。


お正月3日目は街にもほんの少し初雪が降りました。
 

朝日新聞に連載されてた大岡信さんの『折々のうた』の新書版を揃えて暇があると開いています。新年にはこんなのが目に入りました。(三巻)

万(よろず)を有漏(うろ)と知りぬれば
阿鼻の炎も心から。
極楽浄土の池水も
心澄みては隔て無し。

平安時代の歌謡集「梁塵秘抄」の一節です。
有漏とは仏教用語で「迷いの世界」だそうです。

万象が迷いの世であるとわかってみれば、地獄の火も心の内にあるものであるし、静謐な天国も心をすませば目の前にあるものだよと、いうことであるようです。

平安時代も平安な時代ではなく、今の世と同じく先の見えない不安で過酷な世の中であったでしょう。
こんな境地を求めていた平安の人の心境をちょっと思ってみてみたお正月でした。


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6 件のコメント:

  1. コメント消えちゃった。私、勝手に、とっても共感。私も正月早々タランティーノ監督のあの映画観て、縁起がいいなと?思ったり。一番好きな村上春樹さんの短編で焚き火の話しがあり、読み返して生と死を胸中でいじくりながら恍惚としたり。2015年は怒涛の勢いだったので、ハリケーンの中で足元固めて、それでも前進するような日々で地獄というのも極楽というのも心次第で決まるので大事なのは、状況がどうであれ日々を丁寧に生きようと思ったり。難しいですけど。ともあれ、シアトル移住決定しました。ここからまた大変なので実感ないですけど。今後とも宜しくお願いします。ああ国家試験の勉強せねば。。

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    1. Emiさんもお正月早々あの映画ご覧になったんですか?縁起が良いのかっw
      焚き火の短編、どれでしたっけ。『納屋を焼く』を読み返したいなと思ったら手元になかった。ぐぬぬ。
      シアトル移住決められたのですね!どのあたりに住まわれるのでしょうか。いろいろ大変だと思いますが、楽しみですね。国家試験のお勉強なんて、すごーい。新天地で、充実した素晴らしい1年となりますように!

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  2. 焚き火の短編は、アイロンのある風景だったような。一番好きな小説と言いつつタイトルうるおぼえでございます。今住んでる家のリースが4月末まであるので、シアトルの家探しはまだ始められませんので実際どこに住めるのかわかりませんが、私はどーしてもコロンビアシティとレイクワシントンの中間辺りの自然いっぱい、でも公共の乗り物もアルヨ!みたいな場所に住みたいです。私は鍼灸師なので、現在はカリフォルニア州免許しか持ってないので、カリフォルニア以外で使える国家試験が必要なんですヨ〜。頑張ります。早く越したいな〜。

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    1. 短編集は手元にあったかなあ、探してみます。
      4月頃は良い気候になってくる頃で、花もいっぱいだし、お引越しには良い季節ですよ!コロンビアシティのあたり、人気急上昇ですね。ライトレールが伸びているのでどんどん便利になると思います。
      鍼灸!素晴らしい〜。ダイレクトに人の役に立つ職業ってほんとに尊敬です。試験も頑張ってくださいね!

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  3. 明日カリフォルニアへ戻ります。後ろ髪引かれまくりです。鍼灸漢方は大好きですが鍼灸師の社会に馴染めないです。変わった人が多すぎです。そういう自分はと聞かれると何も言えないですが。私の理想は、のんびり鍼灸やって、夜は星空の下で夜会。ウクレレ弾いたり美味しいウイスキー飲んだり。シアトルでどーやって食ってくか、トンとわからないですが今まで、無事に生きてること事態奇跡なので、努力はしつつ、自分の直感で動いてみます。また忘れた頃にお邪魔させていただきます。

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    1. Emiさん、今頃はカリフォルニアの青空の下ですね〜。今日のシアトルは朝から一日中午後6時のようなどんより日和です。
      鍼灸師の世界。小説になりそうですね。あ、もう「必殺仕事人」があるか(違)。わたしはかかったことがないのですが、聞いた話ではシアトルにもキャラの立っている先生が多そうです。翻訳の世界もここだけの話、変わった方がけっこう多いですよww <無事に生きてることじたい奇跡>はわたくしも同様でございます。 またぜひお立ち寄りくださいませ〜。

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