2014/08/23

都会の電源難民



今回(といってももうはや二ヶ月も前のことになってしまいましたが)の東京滞在で困ったのは、電源でした。

東京で無料Wifiスポットを探すのが困難なのは4年前に身にしみていたので、Wifiルーターを借りて行きました。

ニューヨークにあるJ-Plaza という日系会社のサービスで、1日約8ドル。
携帯電話も同じ会社で借りていって、こちらは1日約5ドル。電話はWifiが使えれば要らないかなとも思ったのだけど、会う予定の人の中にネットにあまりつながってない人がいたので…。実際あまり使わなかったけれど、運転中の弟にクルマでひろってもらう場所を確認するなど、どうしても必要な場面がやっぱりあった。

Wifiのほうは毎日の必需品でした。シアトルから持っていったiPhoneをWifiのみで使ってたんだけど、意外な落とし穴が。このルーターがけっこう旧式で、フルチャージしてもまる1日もたない!

そして東京都内で利用できる電源が、シアトルにくらべて異常に少ない。
シアトルでもホノルルでも、カフェで自由に使える電源を備えてないところはほとんどなく、図書館などの公共機関でももちろんWifiも電源も無料で使い放題なんだけど、東京はほんとうに、ほんとうに、使える場所が少ない。


それでも4年前にくらべたらまだ増えてきて、吉祥寺のスタバでWifiと電源が使えたのは助かった。

検索したら「電源カフェ」というアプリがあったので早速入れてみた。現在位置の近くにある電源利用可能なカフェやお店の情報アプリなんだけど、情報は口コミオンリーなので、あんまりアテにならない。

それに電源が使える店でも、全席にあるわけじゃなくてほんの一部にしかないので、アプリで調べてわざわざマクドナルドに行ったのに地階席まで降りてみたら電源席がみんな使用中でまったく使えなかった、ということもありました。


ある日、原宿で2件用事があって、その間が3時間か空いていて、ちょうどそのくらいで出来る短い仕事があったので、その間に片付けてしまおうと完璧な計画を立てていたら、「電源カフェ」で出ていたカフェが休業で、ほかの店もみつからなくて、むちゃくちゃ蒸し暑い中を20分以上探しまわる羽目に。原宿ならカフェくらいあるだろうと高をくくってたのに、計算外でした。

結局見つけたのが、上の写真の「ターミナル」という、木の椅子とiMacが並んでるこじゃれたコワーキングスペースみたいな店。1時間700円くらいで電源とWifiが使い放題というシステムで、コーヒーや紅茶、ソフトドリンク無料。たけぇよ、と思いつつ、背に腹は変えられないので約2時間半利用、1700円なり。
2000円ちょっとで 1日利用、途中外出も可、というプランもあるので、まる1日いるならまあリーズナブルかもしれませんが。
スペースは広々してて、マンガ喫茶みたいな閉塞感はなくていいけど、たけぇよー。コーヒーは驚くほどおいしくないし。とブツブツいいつつ、カフェに関しては、人の密度が低くカフェの密度が高いシアトルがどれほど恵まれているのか、実感したんでした。



東京駅で松山行きの夜行バスを待ってる間にも、ルーターの電源が切れた。もちろん人でいっぱいの待ち合い室に電源などなし。
トイレにいったらあるかも、と同行のM嬢に(これは名前の略であって「マゾ嬢」ではありません、一応ねんのため)入れ知恵を頂いて、トイレにいったら個室にこんな貼り紙があった。

がーん。「警察に通報します」って。そんなガムテープでぐるぐる巻きにせんでも。
ということはこのウォシュレットの電源を外して充電する人が数多いってことね。

 「窃盗罪」って。いったいスマフォの充電にいくらかかるの?というと、調べた人の記事があった。
この人の計算によると、フル充電で一回0.13円だそうです。
タブレットでも0.7円。

1円未満で窃盗罪かー。

100人充電したって13円てこと。300人充電しても50円にもならない。なんだー。
ニーズがこれだけあるんだから、そのくらい投資しようよ!


東京オリンピックで外国人観光客を誘致したいなら、もうちょっとWifiと電源の数増やしたほうがいいよー!主要駅にも電源ルーム設置をぜひ!
 

東京滞在の残り数日になったところで、勢いあまってこんなモノを買ってしまいました。電池4本格納のスマートフォン充電器。

もっと早く買っておくんだった。


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2014/08/22

動物園のピクニックコンサート ZOO TUNES


8月の晴れた日曜日、シアトルのフィニーリッジにあるウッドランドパーク動物園のコンサートに行ってきました。

 午後5時開場。それまで長い列に並んで待ちます。芝生席なので早いもの順です。

開演は7時、だけどシアトルはこの時期9時近くまで日が沈まないので、まだまだぜんぜん昼間。
 

ZOO TUNES というこのコンサート、毎年7月と8月に開催されてます。

快晴の空の下、夕風の涼しい芝生広場でピクニックしながらのんびりと楽しむコンサート。 ラインナップはジャズ、ブルーズ、フォークなどで、客層も全体に年齢が高い。
40代以上のカップルが多かったです。

 

こんな感じ。町内会イベント的な景色ですね。

背もたれが24インチ(約61cm)以上の椅子と日よけの傘(後ろの人が見えなくなるから)、一眼レフカメラ、そして外からのお酒の持ち込みは禁止。のはず。なのですが。

前に座ってた熟年白人カップルがステンレスの水筒からプラスチックのコップについでいたのは、赤ぶどうジュースだったのだろうか。何種類かのチーズと一緒に楽しまれていましたが。
 隣の初老婦人グループが飲んでいたのは、ジンジャーエールじゃなくてワインクーラーっぽかった。その前の女性二人連れは大きなプラスチックのグラスに入ったマルガリータ持参。ヴァージンかもしれませんけどね。

会場内にも囲いで仕切ったビヤガーデンができていてビールが飲めるし、食べもの屋台もある。でもほとんどの人は家からピクニックバスケット持ち込み。



うちのピクニックべんとう。チキンからあげ、揚げ野菜、メロン、ハムサンドイッチという、冷蔵庫の中にあったものを見繕ったでしょ的な。

まほうびんの中身はワインじゃなくてお茶ですよー。



ほんとに年齢層高い。

この日のコンサートは、ロバート・クレイ。この人タコマ出身だったなんて知らなかった!
ローカルボーイだったんですね!お父さんが軍人で、タコマ近くの基地で育ったのだそうだ。好きなんですよーこの人のギター。

前座のシャメキア・コープランドって女性ボーカルは知らなかったけど、すごくパワフルで良かった。



涼しい綺麗な夕方に、広い芝生の上で唐揚げ片手に聞くブルーズギターの古い曲。なんか幸せ。



ちょうどコンサートが終わるころ、陽が沈んでとっぷり暮れ始めました。

楽しかった。この夏最後のZOO TUNE はあさって24日のジギー・マーリーだけど、もう売り切れ。また来年、機会があったらぜひ行きたいです。


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2014/08/20

帆雨亭の眺めのよい窓


尾道3時間散歩の最後。

じっとりと暑い午後で、小一時間も歩き回ると汗だくに。


すてきなヤツデとノウゼンカズラの間の小径を昇ると、志賀直哉の旧居がありました。
文学館になっていていろいろ展示があるらしいけど、あまり時間がなかったので外観だけ拝見。

きれいな板塀です。


さらに小径の先にはこんな看板が!
志賀直哉旧居はパスしてもこれにはたぐり寄せられる。

そしたらこのお茶屋さんの中にも志賀直哉の初版本や原稿が飾ってあった。



帆雨亭という、静かなお茶やさん。

ふつうの民家を改造したと思われるお座敷にちゃぶ台が3つばかり並べてあって尾道の屋根が見晴らせる。



とりあえずお水を立て続けに2杯ばかり頂いてから、冷たい抹茶をいただきました。
お店の上品な婦人が旧式の扇風機をつけてくださった。

お客はわたし一人きり。なんて豪華な。

この家もやっぱり少し傾いていて窓からは蔦がひたひたと侵入してきていたりするのですが、ネットもなく音楽もなくこんなに静かな空間でお茶を頂いたのはどれだけ久しぶりか。




初版本がたくさん並んでいたというのに志賀直哉先生にまったく興味がなくて申し訳ない。中学1年生のときになぜか『清兵衛とひょうたん』 という短編を国語の授業で読んだきり、あまり読みたいと思う機会に恵まれなかったので暗夜行路とかもまったく読んでません。ごめんなさい。でもお茶はおいしかったです。

清兵衛とひょうたんも中学1年には全然ピンと来なかった。ひょうたん磨いてなにが面白いのかさっぱり共感できず。

文学に対するアナロジーなんだそうなんですけど、引き込まれるものがなかった。おなじころに授業で読んだ芥川龍之介の作品なんかはもうもう言葉の印象が強烈で、うわーと思ったけれど。そういえば林芙美子の作品も断片的に読まされた気がする。林芙美子も淡々とした中にすごみがあって、なんだか怖くて強烈だった。
今考えると、12〜13歳の子どもたちに渋いものを読ませる先生だった。

 

あとはどんどんと駅の方へ。

今回の日本滞在ではカメラをないがしろにしていたのですが、この尾道でだけは久しぶりにちゃんと写真を撮りたくなった。




尾道は海に面しているせいか、あちこち完璧に錆びている。赤錆がとてもきれい。




まとめると、傾いて錆びた坂と猫の町。

またいつか再訪したい。ちゃんと志賀直哉も読んでおこう。


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2014/08/18

傾いた風景


尾道は坂の町。

ロープウェイを降りて地図をみると、丘の上から駅まで「古寺めぐり」というルートになっているらしかったので、その通りに歩いてみる。



丘の中腹の人家やお寺の間をうねうねと通る、猫道のような石畳の道。



見たことがないはずなのに懐かしい風景ばかり。


坂の途中に建っている、綺麗な三重塔。


「1388年(室町時代)建立、重要文化財。火気厳禁。」

と書いてある立て札がありましたが、境内は無人。火気厳禁を執行するのは各自でお願いします、ということらしく、なんて無防備な。


あめ色になった木材がまことに重厚な建物です。末永くご無事を祈る。


この坂道の角度や建物の複雑なこと。


「古寺巡り」の道は、お寺だけではなくて(本当にどうしてこんなに狭い場所にこんなにたくさんのお寺がひしめき合ってるんだろうか)、民家の軒先やお墓も通っていきます。


おはか。墓石もかなり混み合っていました。賑やかなお墓ですね。
ちりとりにも存在感が。 


素敵な板塀とすだれのある、かなり手入れの良いおうちです。


でもなんとなく町全体が傾いている感じが、とてもする。



なんだかとても複雑な地形に建っている複雑な仕組みの家々。この上の写真の中央に小さく見えてるのは昔の共同井戸で、つるべと木の桶が保存されてます。



傾いているんだけど、とにかくどのパーツをとっても、電線も板塀も塀からはみだした草木も、坂道を昇って来るおばあさんも、なんともいえない存在感がある、やっぱり不思議な町です。

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2014/08/16

不思議な猫の町の犬の丘 



尾道は猫の町なのらしい。

3時間くらいの急ぎ足の散歩中に出会った路上ねこは、この人だけでしたが。
暑い午後だったからか。


住んでる人が猫好きそうな雰囲気があちこちに漂っている。


なぜか「猫がいます。」と宣言している家が数軒。
泥棒や押し売り防止のために「犬に注意!」て看板を出してる家はどこにでもよくありますが、この猫います宣言は一体なんのため?
猫がいると住民税が減税になるとか何かあるのか。魔除けか。




とりあえず商店街を抜けてロープウェイで丘の上のお寺へ。『トトロ』にでてきそうな、見事なクスノキの上を越していきます。このクスノキは「うしとら神社」という非常に古い神社の境内にあるもの。巨石が祀ってあるという神社です。
そんな神社をまたぎ越してしまって良いんでしょうか。
遠くから(上から)見ただけでしたが、小さいながらただならぬ雰囲気の古社でした。


狭い斜面地に、お寺と神社がみっしり並んでいる町。
のどかな魚の町に、なぜこんなにもお寺が集中しているのか。




のどかなわりには、謎が多い町。


頂上の公園でロープウェイを降りると、こんな歓迎団がお出迎えしてくださった。


食べものもしくは飲みものを手にしている人を非常に熱心に見守る、歓迎団。

オミヤゲ屋さんによると、この公園に最近住みついた家族らしい。


いちおう、野犬。でもこんなサイズなので全然迫力はない。
 

東京圏ならすぐに「駆除」されちゃうだろうなあ。のどかな町で、よかったね。


頂上からはお寺のわきを通ってずんずん下ります。下りの道は「文学のこみち」と名づけられて尾道にゆかりのある石碑がたくさん並んでました。子規の句碑もあった。

のどかさや 小山つづきに塔ふたつ

やっぱりどこから見てものどかな土地。


屋根に草が生えちゃってる家、メンテナンスがおいつかないであちこち傾いた家や、本当に崩れてる家もちらほらと。

風情はあるけど危なくないのだろうか、と、ひとごとながら心配になってしまう。
地震がある土地だったら間違いなく無理そうな家が、崖の上にちょこんと傾いて載っている。


のどかなんだけれど、どこか人を不安にさせるミステリアスな町です。

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